熊野古道を歩く旅(大門坂篇) #4「白神住まう聖なる地」
2014-10-29(Wed)
~前回までのあらすじ~
那智観光センターで休息を得た後、407段の石段を登った筆者は、熊野那智大社、青岸渡寺、そして三重塔を巡る。
そして、遥か遠くに見えた那智の大滝を目指して道を進んで行く。
熊野那智大社から青岸渡寺、三重塔をめぐり、次に筆者が目指すのは那智の滝。
そこまでは上図のようなルートを進んでいくことになる。
三重塔より先に進んだ防災道路の先に、下りの石段がある。
その石段の作りは割と粗め。一段一段気をつけて足を踏み出さないと、足を踏み外すことになるやも。
石段を下り詰めたところには、『那智の滝前』という名のバス停。
先程筆者が那智駅から乗ったバスを利用すればここまで移動してから先に那智の滝を見て、三重塔、青岸渡寺、熊野那智大社、そして熊野古道と言う順番に巡る事も出来る。
そのバス停の向かい側には土産物屋が立ち並んでおり、買い物を楽しむことができる。
そして、ここからもう少し歩いた場所には、那智の滝を間近で見ることのできる飛瀧神社の入り口が。
この鳥居の向こうに、今日の、いや、この旅の最終目標がある。
筆者は意を決して飛瀧神社の一の鳥居をくぐった。
飛瀧神社は熊野那智大社の別宮であり、那智の滝を御神体とした神社であり、社殿はない。直接滝を拝んで参拝を行うこととなる。
滝の飛沫に触れることによって、延命長寿の霊験があるという伝説があるらしい。
そしてまた下りの石段。この石段を下りきったところにはいよいよ那智の滝がある。
次第に滝の音が大きくなってくる。
……ん?
神域護持のためノースモーッキーン!
「禁煙」じゃないんだなw あえて英語圏からの参拝客にもわかりやすく英語w
石段を一段一段下り、そしてとうとう到着。
これこそが、本日の最終目標・那智の滝。
落差は133mにも登り、一段だけの落差なら日本一を誇っている。
青岸渡寺から見ても思ったが、なんという見事な滝なのだろう……。
その滝の美しさは「天地を結ぶ白神」と称されるほど。
ごつごつとした大岩の向こうに滝壺がある。この遠近の関係もまた目を惹かれてしまう。
この場所では多くの観光客が滝の撮影に夢中になっている。三脚に一眼レフカメラをセットし撮影を行う人もちらほら。
ここからの眺めだけでももちろん見事な光景をお目にかかれるが、
更に近い場所であの滝を拝む方法がある。
それは、ここを参入料(大人300円 小中学生200円)を払い、この先の道を進むこと。
有料だ。
しかし、躊躇う理由などどこにある?ここまで来て微々たる支出を渋る?そんなまさか。
筆者は何ら迷いもせず300円を払い、「お滝拝所」へと向かった。
(1,000円でも払ったんじゃないだろうか)
道を進んで行くと、滝を最も近くで見ることのできる二段の拝所舞台がある。筆者はそこから滝を何枚も撮影した。
伝わるだろうか?この壮観、迫力、勢い。
岩肌で水が砕かれ、まるで白い絹の様になってサラサラと流れていくような光景を近くで拝むことができる。
ここまで来ると那智の滝から発されるわずかな水飛沫が全身に伝わる。
この心地良い冷気が、正に神を目の前にしている気持ちにさせる。
熊野古道と熊野那智大社を巡り、ここまで来るのに足腰が疲れたが、この光景を垣間見ることのできたことに比べれば些細なものだ。
疲れをあっという間に吹っ飛ばす。
そして、日々の嫌なこと、今抱えている深刻なことにもプラス思考を持って挑める気持ちになる。
それだけの力があるスポットなのだ。
17:41 那智の滝前 出発
那智の滝から、有り難き神の御加護を授かった筆者は、神社を後にし、時間に遅れぬようにバス停で帰りのバスを待った。
「那智の滝前」から発信したバスは熊野古道、大門坂駐車場前などのバス停を軽快に走り抜けて行く。
ホント、あれだけの距離を噛み締める間も無く……。
熊野那智大社、青岸渡寺、三重塔、そして那智の滝。
イイとこどりのこのコースを歩く機会を得られて実に楽しい一日だった。ここは初心者にもお勧めしたいところ。
あと、あらためて(今更ながら)、
熊野古道、世界遺産登録10周年おめでとう!!
(エキサイトしてつい……)
さて、ここからは締めなので駆け足で語るが。
熊野古道・大門坂の踏破、熊野那智大社・青岸渡寺への参拝、那智の滝を見た筆者を乗せたバスは那智駅に戻り、到着した列車に乗り新宮駅まで移動する。
その日中に松阪まで帰る列車はない。なので、今日はこの新宮の某ビジネスホテルで宿泊した。
たどり着いたホテルに荷を降ろし、ホテル内のレストランで天麩羅定職を食べ、
部屋に戻ってユニットバスで旅の疲れを癒し、そしてポケットWiFiを使って、全国のハンター達とモンハンをしたり(笑)
ひとり旅ならではの自由と贅沢を堪能し、そして朝を迎える。
2014年9月14日
8:00
その日も新宮市は晴天で朝を迎える。
朝食にバイキングを頂いて腹ごしらえをしてホテルを発ち、新宮駅からワイドビュー南紀に乗り、地元の主要駅、松阪駅向けて新宮市を後にした。
名残惜しいが、きっとまたここに訪れる時は来る。
人生、まだまだ先は長い。
いつかまた、この旅で訪れた場所の事を懐かしく思い、再び列車に乗ってその場所を目指している筆者がいることだろう。
そして、長い列車での移動を終え、時刻は正午前。
松阪駅に降り立ち、久々の松阪市街を目にし、気分次第に街を散策してたどり着いた店にお邪魔し、
今回の旅の軌跡と、うな重の旨さを噛みしめた。
実家のような安心感のあるこの店はこの旅の終着点には相応しい場所だった。
さて。
今回はJR線を利用しての旅となったが、その車窓からは知らない、でもどこか見覚えのありそうな景色がたくさん見られ、再び熊野古道という道を歩く機会が得られ、よい心の修行(?)と保養になった。
前回は馬越峠、今回は大門坂を歩いたが、世界遺産たるこの道はまだまだほんの一部で、
その先にも石畳は果てしなく続いている。
また、別のコースを歩く機会があるかどうかはまだわからないが、今回の旅はここまで。
この旅行記を見、筆者と同じ様に訪れてみたいと思った人がいたのであれば、これ以上の幸いはない。
To be Continued in the next Travel...
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